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【雪ミク2013】SNOWMIKU2013 シンポジウム『つながる世界part2』のレポートです!

【SNOW MIKU 2013イベント『つながる世界part2』】


2013年2月8日(金)、札幌駅南口からすぐのところにある日本生命札幌ビル3F大会議室にて開催されたシンポジウムに行ってきました。
昨年のシンポジウムの内容が良かったからか、今回の募集人数が少なかったからか、申し込み開始後1日も経たずに締め切ってしまったイベントです。
今年もこのシンポジウムの様子はYoutubeustreamにて生放送が行われていたので会場に行けなかった方でも視聴した方は多いはず。
残念なことにシンポジウムの会場でも配布資料がなかったため手元に残るものは何もないですが、そのままにしておくのももったいないのでここに記録しておきます。
※記憶が曖昧なので全て正しい内容とは限りませんのでご注意ください。



当シンポの概要は次の通り。


全体進行:片岡香澄(FMノースウェーブ


第一部:音楽テクノロジーの未来
【出演者】
佐々木 渉氏(クリプトン・フューチャー・メディア(株) 初音ミク企画開発主任)
剣持 秀紀氏(ヤマハ株式会社 yamaha+推進室)


第二部:つながる世界 ‐Think Global,Act Local‐
【出演者】
岡田 智博氏(NPOクリエイティブクラスター理事長)
林 英邦氏(HMカンパニー 代表取締役社長)
中村 昌彦氏(北海道そうぞう・ラボ事務局(北海道庁))
伊藤 博之(クリプトン・フューチャー・メディア(株) 代表取締役
おまけ:台湾ミクパライブ映像から見るつながる世界


内容についてざっくりと流れを追っていきます。(所々追えないところもあったのでその部分は省略)


1.第一部「音楽テクノロジーの未来」
パネリスト:佐々木氏、剣淵氏(以後、佐、剣)


冒頭
佐:ボーカロイド2である初音ミクが有名であるが今日はそれより前にリリースされたボーカロイド1のカイトについて紹介したい。
カイトはうろたんだーで一気に火が付いて人気の出た作品。リリース当初は100本くらいしか出なかったがニコ動の登場等により時代は変わり、受け入れられるようになった。


剣:ボカロは2000年から開発して最初はデイジーというソフトを開発。2003年にはボーカロイド1のメイコ・カイトをリリース。もう10年にもなる。


佐:カイトは風雅直人さんの声音を使っている。カイトは何年か前に録ってあった風雅さんの声をブラッシュアップする形で作られたもの。
2000年5月に声を収録。ひらがなを羅列した呪文のようなもので音程の上がり下がりを録っていた。
ボカロ2の初音ミクはこのカイトの経験を生かし、音程を3,4種類で4,5文字を喋ってもらうだけの簡素なもので収録することにした。


剣:(ボーカロイド開発にあたり)まず音声学を学び、録音に臨んだ。


佐:当時はヤマハ2人、クリプトン2人で初音ミクを調整。ボカロ1のカイトとボカロ2のカイトは音の属性が違う。


剣:音の断片を信号処理で繋いで合わせるのは同じだが、そのエンジンシステムが大きく違うんです。


佐:うろたんだーでカイトが人気になり、一定のファンが定着。特に女性のファンが増えた。
そして、声音についてファンが語り合うレベルまで達して凄いところまで行ったなと。
カイトは技術に対してユーザーが耳をそばだてることに対し寄与したと感じます。


剣:声に対して、繊細に聴くようになったのは凄いこと。


佐:だからカイトは想い出深いものとなった。しかし、カイトの当時のシステムでは新規に使う人には敷居が高いのでリニューアルすることにした。
V1をリスペクトしつつ次の可能性としてウィスパーなど声の種類を新たに加えました。


剣:風雅さんは声が安定している。ピッチが取りやすいのでエラーが少ないんですよね。


佐:風雅さんはボカロ基礎開発の段階からやってもらっている。今ではKSITO V3は想定以上の出来。


剣:英語については?


佐:風雅さんはジャズのスタンダードを歌うことが多く英語の発音・発声を勉強していたので挑戦してみようということになった。


―――――――――

クリプトンピアプロスタジオ開発スタッフ 黒田氏からの説明
KAITO V3に付属されるピアプロスタジオについての操作方法について説明・実演


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後藤 真孝氏(産業技術総合研究所)のプレゼン


自己紹介
ピアプロと連携し、64万もあるボカロ曲の動画視聴支援をしている。
知らないうちにSF小説の登場人物として登場していた→その小説の中でぼかりすについて触れられていた


ぼかりすとは?
2008年4月28日【初音ミク】 PROLOGUE 【ぼかりす】にてニコニコ動画で公開した技術(詳しくは動画へ)
2012年10月19日ヤマハから製品化・発売


未来について
音声合成文化の発展による幸せがある。
この音声合成文化が普及するのは歴史的必然であり、未来では当たり前のものとしてあるかもしれない。
そして未来では音楽について今とは別の形での楽しみや幸せがあるかもしれない。新技術の発展があり新たなものが出てくるだろう。


未来の可能性
楽曲・歌詞がコンピュータにより全自動生成されたものであればどうなるか。人間の作る作品でなければ楽しめないのだろうか?
しかし人間の声でなければ聴くことが出来ないという考えは初音ミクの登場により破壊された。
つまり、楽曲が全自動生成されたとしても楽しめるかもしれない。また、クリエイターがニコ動に投稿したものとコンピュータが生成し投稿したものを
リスナーは楽曲が投稿されるまでの過程はわからず完成形だけを見ているわけだからその違いに気付けない。→楽しむことができる
更に、そのコンピュータが初音ミクだったとしたらどうだろう!?
仮に楽曲の全てをコンピュータが作らずとも人間とコンピュータの仮想合作が出来たとしたらそれを受け入れられるだろうか?


こういった文化の変化をリアルタイムで楽しめるのは幸せである。


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佐:今の話を聞いて、100万人のミクが自動で楽曲を生成するなど、ミクがコンピュータであることのネガティブな面をポジティブに捉えてるなと


後:自動でコメントを自動生成する技術も開発しているんですよ


剣:(ボーカロイドは)こんなにも早くメインボーカルを取って受け入れられた。曲を選ぶこと自体が一種のクリエイションなのかな。
取捨選択するという判断により曲をクリエイトしているということを、拡大解釈すればそう捉えられる。


佐:初音の伝わり方は未来と過去との連続性があり、ミクの受け取り方、捉え方はそれに影響され変化している。


後:クリエイターとユーザーとの境界が曖昧化している。人間とコンピュータの境界も同様に曖昧化しているが、
それも受け入れられつつある。楽曲制作の過程でもそのプロデューサーが何をどこまで手掛けるかもこの連続性の中で変化している。


佐:ミクは人に思い入れをしてもらえたソフト。


後:音楽にはオリンピック的な感動とコンテンツそのものについての感動がある。
前者は人がクリエイトした場合に当てはまる。後者はぼかりすのようなコンピュータがクリエイトしたものにも当てはまる。
(ただ、ぼかりすというシステム自体は人がクリエイトしたものですけども。)
これらに対しミクはコンピュータを擬人化した側面もあり、オリンピック的な感動を与えることが出来るのではないだろうか。


佐:ミクは設定上の外見、ストーリー的な要素を楽しめてもらっている。しかし、カイトについては視聴者が勝手に妄想して作られた世界により楽しまれているものである。
腐女子たちによる爆発的な想像力により人気が高まっているのかと思う(笑)カイトの歌声に対して好いていった後、想像力の開放により新しい魅力が広がっていくのは新しいと思う。


剣:音楽はバックグラウンドのストーリーと共に楽しむことはこれからも続くと思います。


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2.第二部「つながる世界 Think Global,Act Local」


地方発信のコンテンツについて〜何故東京ではなく地方からコンテンツを発信するのかについて語る〜
NPOクリエイティブクラスター理事長
岡田 智博氏


・ブロードバンドとDIYによるクリエイティブとレボリューションは地元と「セカイ」「グローバル」を直結する。
こう冒頭で述べた後、具体例を使い地方からでも情報発信により世界にアピールすることが可能であると説明。


・地元 TO 「セカイ」〜地元の創意工夫で「セカイ」を掴むことができる〜
具体例1.彦根市ゆるキャラひこにゃん」の例

彦根ひこにゃんが誕生し広まるまでの過程
1.財政状況が悪く市では何も作れないが、客を呼びたい。
2.ならば工夫でキャラを露出
3.みんなに使ってもらうことでグッズ経費を削減しよう→ひこにゃんの商標を市民に開放。

結果
1.市民が120以上のグッズの発売先に参加=市民がスモールビジネスに参加
2.様々な市民グループが対抗する→井伊派(ひこにゃん)vs石田派(しまさこにゃん)他30以上のゆるキャラ登場
3.各グループや行政がそれを受け入れ連携する
4.ゆるキャラの聖地に!→ゆるキャラサミットが開催される


具体例2.蛙男商会Flashを使用したアニメーション製作)
映画の仕事で島根に住み着いて仕事をするようになり、FLASHアニメを制作するようになる。映画やテレビにコンテンツに提供するが、
島根ネタが満載ということもあり地元で話題となり、地元との繋がりを深め人気を博す。
→ネットがあれば地方にいても東京とやり取りができるため必要なものは揃う。
→つまり、クリエイターとプロデュースの繋がりがあればどこででもクリエイティブできる!
→また、いくらアクセスを得ても適切な「繋がり」「コネ」がないとコンテンツ化しない。


具体例3.地元 TO 「グローバル」〜モントリオールは世界にアプローチしコミュニティを繋げた〜
モントリオール洋ゲーの世界一大開発地。5000人のゲームデジタルコンテンツ技術者を抱える。
アーティストとともにコンテンツテクノロジーを開発する風土、その作品を文化として評価する土壌により発展してきた。


以上の参考例から今後、北海道がすべきこととしては次のものがあげられる。
1.コネクションをつくる
2.文化とクリエイティブとの連携・融合を進める
3.文化的な評価をされるような土壌を整備する。


―――――――――


初音ミクから学んだこと」
クリプトン・フューチャー・メディア(株) 代表取締役
伊藤 博之

・SNOW MIKU イベントについて
雪まつりでは4年前からミク雪像を作っていたが、どうせならクリエイターも巻き込んで何かやろうということになった。
このイベントを札幌でやることを通じて、まちの発展・活性化、クリエイターの共感を集めるための実験が出来ている。
今はミクによってクリエイター、コンテンツに出会うが、それをどのようにして出していくかを考えている。


初音ミクとは
・音楽ソフト
・創作の連鎖が続いている
動画共有サイトがミク普及のぷらっとホールとなる。クリエイターとファンのハブとしてミクが機能した側面がみられる。
   ↓
○ミクの普及に伴いルールとマナーを作る
・投稿サイトピアプロを作る
・明文的なルールとしてPCLを作る
クリエイティブコモンズに対応


○人の性質、コンテンツの性質について
人ってやつは…クリエイティブであり、メディア(語り手)でもある。人が伝えたい価値は「おいしい!」「キレイ!」などの共感であり、
その手段・受け皿となるのがコンテンツである。コンテンツの性質とは「使えば使うほど増える」


○地方は不利なのか?
・北海道とコンテンツ・・・音楽やイラストだけがコンテンツではない。自然も人もコンテンツでありコンテンツは北海道にたくさんある。
・掛け算の発想・・・コンテンツは使えば使うほど増える。音楽×食などコンテンツのコラボなどやりようはある。
・メディア化する個人・・・スマホの普及等により個人が手軽に情報発信できるようになり、大手代理店などの必要性は下がっている。
→地方でもこれらのようなきっかけはあり、不利ということはない。


―――――――


■パネルセッション


【出演者】
NPOクリエイティブクラスター理事長
岡田 智博氏
HMカンパニー 代表取締役社長
林 英邦氏
北海道そうぞう・ラボ事務局(北海道庁
中村 昌彦氏
クリプトン・フューチャー・メディア(株) 代表取締役
伊藤 博之


■HMカンパニー 林氏
・農業分野を開拓している。北海道の地方小果実の消費拡大のためクリプトンと協力してリトルベリーズというキャラクターを制作。
・2011年から漬物日本一決定戦「T-1グランプリ」を運営。
・北海道は食・農業のコンテンツ及びクリエイティブな一面がある。グリーンツーリズムを推進したい。
・「おいしい」「安全」だけではその作物のセールスポイントとしては不十分で、作物が生まれたバックグラウンドを伝えるためにリアルとバーチャルをいかに繋げていけるのかが重要。


■北海道そうぞう・ラボ事務局(北海道庁) 中村氏
・北海道そうぞう・ラボとは道庁職員有志が創造をキーワードに集まり始めたもの。
・HPとFBを活用しアイディアを集めている。
・プロジェクト第1弾として北海道×ピアプロのコラボ実現。
・北海道の雪と冬をテーマにした雪ミクのイラストと楽曲を募集。
・北海道のHPのアクセス数目標もあったので募集したイラストを使いHPをみっくみくにしてみた。
・札幌市だけでなく全道の祭りとコラボ実現。


■クリエイティブの活動と地方の活性化について伊藤社長からお題
・クリエイターの必要性及びクリエイターの育成に参考になるものは?
岡:IT産業に関係のないところでも、クリエイターがいなくともDIYを駆使すれば何とか打開できる。音楽マーケットではライブ収入の重要性が高まってきている。無料で曲を配信し知ってもらうことで、ライブ、グッズへファンが動く。このようなユーザーを引き入れていく行動をとるべき。
伊:参入障壁が低いですからね。イラストも曲も無料で出来る。
岡:ネットレーベルが盛んになってきている。つまりクリエイターがいなくてもネットを通じて東京から持って来れる。
林:農作物にクリエイターを付けて、差別化のためにエピソードなどをつけたい。
中:クリエイティブの地産地消。地元のクリエイターを使って地元に定着させるというようなことをしたい。今回のように祭りとクリエイターを繋げる活動もしている。


・北海道というコンテンツについて
林:ハリウッドでは、アメリカの生活スタイルを世界に洗脳活動、韓国では、現代、LGなどのイメージアップ活動を行っている。ならば、クリエイティブによって北海道の農業などもコンテンツを発信して北海道を伝えていけるのではないか。特に農業と言うコンテンツが良いのではないだろうか。

中:その通り。PVも見てもらいたい。GOOGLEを目標にして作りました笑。また身近にいるもの。
岡:実際に体験しなければわからないものを作らないといけない。ミシュラン北海道版では地方の蕎麦屋に☆がたくさんついたのはそれが体験出来るから。実際の体験による感動を与える人のつながりによってホストとなっていくことが大事。


・今回のテーマについて一言
岡:さっき話したからパス
林:世界が近くなっいる。北海道はクリエイティブによってハンデがなくなってきた。ミクや雪まつりの見直しによりそれが出来た。
伊:コンテンツは東京から来ている。しかしSNSによりスマホ等メディアによりいつでも個人が情報発信できるようになり(個人のメディア化)、地方でもコンテンツを広めることができる。マスメディア的な消費になれてしまって十分にできないがコンテンツを受け入れる土壌は出来ていることに気付いた。地元でもそのような活動をしていくことで日本は元気になっていく。
中:北海道高橋はるみ知事より預かったメッセージ読み上げ。



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■会場限定で伊藤社長が撮影した秘蔵映像公開。
初音ミク台湾ファースとコンサート“ミクパ♪”」の観客側の様子を撮影した動画を15分間上映。
ちょうどアンコール以降の映像が映される。台湾ではどんな人がファンで支援している人かがわかる。彼らを見ることによって世界を感じてほしいという伊藤社長の意向によるもの。
映し出された会場の様子を見ると、アンコールの仕方も掛け声もサイリウムの振り方も日本と同じでPPPHも。女性も多く全体の年齢層は若い。
満面の笑顔でミクを見る彼らを見ていると俺達って国が違ってもみんな一緒なんだなと感じました。ミクを通じてセカイを感じられた瞬間でした。


以上、ざっくりとしたレポでした。今後YOUTUBEで公開される可能性もなくはないとのことです!


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